2012年8月20日月曜日

漆を科学する会 研究発表会に行ってきました☆ その2

研究発表会2日目のメモ

2日目は、先ず京都府立大生命環境科学研究科の石崎陽子研究員の発表。

3、うるしの木がウルシオールを作る仕組みの遺伝子特定のための研究。
  優良な漆液を出す樹の個体特定に結びつける遺伝子解析の研究。


という、「遺伝子」がテーマの発表内容でした。
この辺になると、専門的な実験経過の説明は私の知見ではチンプンカンプンに近い状態でしたが、
「求めていること」は明確で、大変興味深いお話でした。


ちょうど、この発表の3週間前に京都新聞で、このテーマに関する記事がありました。

【京都新聞】
丹波漆再興、科学で支援 府立大教授ら遺伝子解析

発表では、この記事でも取り上げられている
「漆の主成分ウルシオールの合成にかかわる酵素遺伝子の絞り込み」
と、
「丹波うるしに特徴的な遺伝子の特定」
という2つのテーマについてのご説明がありました。


「遺伝子」という分野に全く知識のない私のざっくりとした理解では、

①うるしの主成分、ウルシオールを合成する酵素遺伝子を捜索中⇒現状ではまだ特定できていない。

②日本産、中国産、あるいは日本国内でも浄法寺のものと丹波のものは、樹種が同じでも遺伝子で産出地を特定できないか?その識別を行うために遺伝子のどの部分を見ればいいのかを探している。

③ ②の産地やその近縁関係を特定する遺伝情報の候補と①のウルシオール合成にかかわる遺伝子の候補は別の部分なので、産地による遺伝子の差異がそのままウルシオールの合成の差異にはつながらない。
⇒つまり「〇〇産と特定できること」と、品質を関連づけることはできない。

④ ①と②をつなげること、すなわち記事のような「優良な樹の近縁の特定」に結びつけるには、まず②の研究から丹波種として認められるものを特定し、さらに①のウルシオール合成遺伝子の特定と、その差異が採取された「うるし液」とどういう相関関係があるのかを明らかにしたうえで、「丹波に土着の樹個体」かつ「良質なうるし液をつくる個体」を明らかにしていく作業が必要。

ということでした。

うーん、難解 ( ´・ω・)


そして、①の「ウルシオールを合成する酵素遺伝子」。

こやつが特定されれば、うるしの樹以外の生き物から「うるし液」を採取する遺伝子組み換え技術が誕生する道が開けてくる
・・・というお話もありました Σ(°д°;;)

確かに、現状で一から化学的にうるし液を合成しようと思うと、日本産の漆を樹から採取するよりもコストがかかって割に合わないということですから、そんな技術が開発されれば、うるしがもっと身近になるかもしれません。

もっともこの手の話は、熱心な植樹活動を行いうるし掻きを再興しようと活動されてる方々からは反発を受けそうですが、一方でこういう技術が育たなければ、うるしっていうものがホントに無くなってしまうかもしれないというのも、やはりその通りだと思うので、今後の研究に期待したい感じです!



最後のブータンの発表は下記に詳細な資料が公開されいますので、こちらをご覧ください☆
http://uuair.lib.utsunomiya-u.ac.jp/dspace/bitstream/10241/7905/1/62-1-matsushima.pdf